3Dキャラクターイラストを描く時に一番最初にやるのが、この『キャラクターデザイン』です。ここではテレビ局キャラクターとして完成する前の、元になったキャラクター『mupmap』の話をします。
このキャラクターをデザインした1993年頃、僕は小さなデザイン会社で幼児玩具のデザイナーとして仕事をしていました。当時、パソコンというものに初めて出会い、「おもちゃの世界もこれからはデジタルだ!」と叫んで(笑)、電子絵本の様なデジタルなおもちゃ向けにも使える幼児向けの3DCGキャラクターを作ろうと考えました。
『パソコンの中(電脳空間)に住んでいて、人がいなくなると出てくるかわいいデジタル生命体』というのがこのキャラクター達の基本設定でした。
キャラクター達をデザインするにあたって考えたのは、
◎3Dソフトで作りやすい形であること。
◎表情が付けやすい目をしていること。
◎デジタルをイメージさせるような派手な色使いの不思議な世界であること。
◎デジタルであるが、火や水、土、風などの自然をモチーフにすること。
でした。
そうやってデザインを考えながら手描きで仕上げたのがこのラフスケッチです。
このラフスケッチを元に3Dソフトを使い3DCGにしたのが下のイラストです。 Lightwave3Dという3Dソフトを使ってモデリング&レンダリングしてPhotoshopという画像編集ソフトで写真と合成しています。
このキャラクターは幼児キャラクターとして日の目を見ることはなく、忘れていたのですが、その後、もう一度見直す機会があり、架空のデジタルテレビ局のクルーとしてリニューアルしたのが下の『D.O.T.』(デジタル・オキラク・テレビジョン)という3Dキャラクターです。
インターネットがようやく普及し、世の中に『ドット・コム』とかの言葉が流行り始めた頃で、これからはインターネットを使った小さなテレビ局ができて、そういう所に合うのはこんなデジタルキャラクターだろうと思ったわけです。
ここまではまあ言ってみれば自分の好きに作ったキャラクターだったわけですが、この後、このキャラクターを元に現実の世界のテレビ局向けにデザインし直すことになります。詳しくは後編をご覧ください。